運動としての歩行姿勢

・歩幅は無理ない程度でなるべく広く、小幅でチョコチョコとスピード出すより確実に地面をとらえ、腰のあたりに推進力を与える感じ。でも衝撃を与えないようソフトタッチで着地。

・後足のつま先で蹴るよりもつま先を意識的に上げ、踏み出す気持ち。けっつまずき防止、予防のため つま先を意識的に上げ、スネの筋力をつける。

・足首の動きを意識して。まっすぐ前を見る。

・足はハの字に広げず平行に。そして一本の線を挟むように。

・腕は前に振ると言うより、肩甲骨を寄せるように後ろに引く感じ。歩幅が広がります。

・手は軽く握り、親指を出す。

・スピードが乗るに従ってわずかに前傾姿勢。

・30分位までは準備運動。30分過ぎる頃から効果が出始めます。歩行強度によりますが、無理のないところから40分くらいを目安に歩きます。

・歩きすぎたら腰のちょうつがい(仙腸関節)、尾骨の付け根の上あたりを冷却しましょう。

注)尻餅損傷など強い歩行が悪影響を与える腰の障害があります。異常があるようなら控えてください。でも歩かないよりはましですので柔らかな歩行を心がけてください。

なぜ腕は後ろに引くようにするのか?  日本人は胸腔が狭く、腹腔が広い。欧米人はこの逆。その分日本人のような体型は背筋が姿勢の保持に大切になり、弱るとますます体が丸くなります。胸腔が広いと野球のバットは上半身で振れますが、腹腔が広い体型は下っ腹に「ん!」と力を入れないと瞬発力が出ません。胸郭が広い体型は浮力が大きいので浮きながらの泳法が得意ですが、胸郭が狭い体型は浮力が少ないのでどちらかというと潜水泳法が得意になります。それが禁止になるとただでさえ浮力が少ないのですから浮くためのエネルギーを使い不利になります。運動は体型の違いよって不利、有利があるのです。

◎腹腔が広いと筋肉の作用点が遠くなり筋肉が長く太く、ぽっこりおなかになりやすくなります。 

 

何ですぐ けっつまずくの?

 歩くのには股関節だけの動きではなく、骨盤の関節の動きが関係してい歩行や歩行や腰の不都合は骨盤の関節(仙腸関節)の潤滑不全が原因のことが多いのです。ロボットのアシモくんは骨盤がないので膝を曲げたチョンチョン歩きしか出来ません。

「つまずいて転ぶのはちゃんと足を上げて歩かないからだ」とよく怒られますが、ずっと意識してそんな歩行は続けられません。ちょこちょこと小幅の歩行は骨盤が動かないのでかえってつまずきやすくなります。つま先が上がるよう意識し、ゆっくり出来る範囲でいいですから、歩幅を少し広くして歩くよう心がけてください。 

この歩き方を意識することで少しは変わってくるでしょう。

 けっつまずき予防には、足首の動きもとても大切です。寝ながら、座りながら、立ったままで、気がついたときに足首のパタパタ運動をたくさんしてください。あとになりますが足は第二の心臓とも関係しています。


足は第二の心臓っていうけど、どういうこと?

足は第二の心臓といいますが、どういうことでしょう。心臓は血液を抹消に送り出します。しかし吸い上げる力はたいしたことはありません。

一番遠い足の先まで行った血液を心臓は吸い上げることはできません。そこでふくらはぎの筋肉が役に立ちます。

歩行など足首を使うと筋肉が収縮して血液を上に押し上げます。ふくらはぎだけではなく、手足は先に行くほど細くなっています。腕も脚も動かすことによって筋肉が膨らんだり収縮したりして抹消から心臓に血液を戻しているのです。

 寝たきりや座りっぱなしだと、先っぽにある血液は停滞し、そうすると新しい血液は入っていけません。長年続けていると、むくみ、だるさ、ムズムズ病、下腿静脈瘤の原因になりますし、 長時間の同姿勢で発症するエコノミークラス症候群は命にかかわります。

どうすればいいのでしょう。

 やはり歩くのが一番です。歩幅を広げて歩くと自然につま先が上がり、足関節が動き、ふくらはぎを自動的に使うので足にたまった血液を心臓に戻し、空いたところに新鮮な血液が入ってゆくのです。

 寝たきりなどの方も足首のパタパタ運動をしてください。できない方はだれか一秒に一回のペースで左右交互にパフパフと動かしてあげてください。空打ちによる心臓病防止にもなります。



つらいところは暖めるの? 冷やすの?

温めることは気持ちがいいのですが、損傷、障害に温めていいことはあまりないのです。

頭痛、肩痛、腰痛、膝痛、打撲、捻挫、寝違えなど痛いところ、つらいところは冷却してください。

 冷却は氷を一度水に通し、霜をとって0℃にして使ってください。霜の付いた保冷剤とか冷凍庫から出したての氷は氷点下で、痛い感覚で生体に損傷を与えます。0℃の部分冷却は冷やしすぎることはありませんが30分ほどでちょっと休憩。何度かくり返すと効果的です。冷たすぎるのなら日本手ぬぐいの上から。

 

 体温が40℃を超えると生体に重大な損傷を与えます。

加熱するとほんのり赤くなりますが、血行が良くなったというより、熱による損傷を防ぐため毛細血管を広げ血流を増やし熱を運び出しているのです。温めるのをやめるとスーッと冷感がするのはそういうことです。常習的にに過度な保温、加熱を続けているとますます冷えを感じる体質になってしまします。冷却するとかえって熱を運んできてくれます。氷をいじった後、手がほてるのはそういうことです。でも広範囲の冷却はいけません。体表面の3%以内にしてください。

 体温は食物の燃焼熱ではなく、消化、循環、運動など体内臓器の潤滑熱(摩擦熱)です。活動が減ると体温も下がります。冷えを取るには活動とある程度の慣れしかないのです。動物ですから。

 

 脳は高性能の電算機で大量の熱を発生します。その熱は大量の血流での水冷と、鼻からの空冷、鼻の穴は脳の下まで行っていて、鼻毛を湿らせ気化熱を利用して脳の下から冷やします(鼻が詰まるとボーッとするのはそういうことです。オーバーヒートです)。足りなければ頭髪を汗で濡らしてやはり気化熱を利用し外部からも冷やします。「頭を冷やせ!」と‥‥。

 肝臓も化学処理工場で大変な熱を発生します。処理とともに大量の血流でこの熱を運び出します。飲みすぎたときは肝臓を冷やしてあげるとアルコール処理の効率が上がります。

生き物は生ものです。余計な加熱はだめです。

 


【ご注意】 全部がすべてではありません

慢性的なコリとか張りとかって何なの?

一時的な物には疲労や損傷による物もあります。関節はいわば「ちょうつがい」です。関節の潤滑性に問題があれば筋肉が正常で強くても関節の動きは悪くなります。

コリや張りの多くは関節が可動範囲を超えロックしたところに腱が慢性的に引張られて固くなったものです。ロックを外してあげなければ引張られたままで、コリはとれません。

 年齢を重ねて普段の動きが決まり、動きが減ってくると関節の可動範囲はどんどん少なくなり、ちょっと無理をすると問題を起こすことが多くなります

 改善にはただ伸ばせばいいというものではなく、図にあるように圧力をかけながらのストレッチ、引張るより押して関節に圧力をかける運動が有効です。

 軽い寝違いなど良い例で、痛いからと寝ていたり座りっぱなしだとなかなか収まりませんが、仕事へ行かなければ、何々しなければといろいろ動いているうちに頭の重さが頭頚移行部に軸圧をかけ、いつの間にか収まってゆくのです。でも体軸がくるっていると繰り返します。

 

 

  筋肉繊維はサヤ状に伸び縮みします。グリグリと強いモミをくり返しているとこの繊維を破壊してスジになります(筋肉がジャリジャリした手応え)。スジになると伸縮しなくなりますからもっとコリは強くなります。

 

 あと外傷によるものは別ですが、CMで言うように関節軟骨はすり減りません。萎縮はします。関節の軟骨は潤滑液が含まれたスポンジみたいな物です。重力がかかり適度な圧力がかかればジュワッと潤滑液(関節液)が出てきます。使わないと、使われないと萎縮して関節間が狭くなったように見えて「すりへった」「すりへった」となります。使えるようになるとある程度回復します(関節軟骨は血管がありません。関節液が出入りすることで栄養してます)。‥‥無理しないでね。 

 


膝の痛みや変形はどうしておこるのでしょう。

骨盤がゆがみロックした状態になると、骨盤と膝をつなぎ足を動かす筋肉や靱帯が常に引っ張られ、付着部にストレスをあたえ続けます。それが炎症をおこし痛みとして苦しめます。その炎症を冷やすために膝関節に水がたまります。ストレスがなくなれば役目を終え、自然に水は吸収されます。

そのまま放置していると膝の関節面を変形させて安定を得ます。それが変形性膝関節といわれる物です。

 ゆがみの状態により膝の内側、外側、膝裏と症状が現れる箇所が違ってきます。

 

どうすればいいのでしょう。

 まず炎症を抑えるには冷却です。前述したように氷で冷却してください。この方法なら冷やしすぎるてことはありません。少し楽になったらゆっくり歩きましょう。痛いからと荷重をかけないでいるととますます悪くなります。たいていは(一部を除く)荷重をかけていない足方の骨盤がゆがむことが多いのです。ちょっと乱暴な事をいうと冷却して痛みを取りながら、荷重をかけて歩いた方がいいのです。でも(決して無理をしないでください。施術受けないで無理されても責任持てません。)

肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)ってなに?

 肩が痛い、痛くて上がらない。肩に関して障害が発生した事全般をいいます。

実はこれは肩だけの問題ではないのです。今まで書いてきたようにやはり体の軸の問題が大です。外傷によるもの以外、いきなり肩が痛くなることはほとんどないのです。今は感じてないかもしれませんが、以前は腰が痛い、首が痛い、肩がこる、という自覚症状があったはずです。肩に大きな障害が来るのはその結果です。しびれや感覚異常も発生します。

 骨盤が土台とすると背骨は柱です。土台がくるうと柱もゆがみます。柱にぶら下がっている腕、肩も当然影響を受けます。

首、特に頚胸移行部の影響も大きいです。

 

股関節の障害は反対側の肩に影響をあたえている事もあります。股関節と肩関節の動きは関係しています。腰が悪くなると股関節に影響を与えます。仰向けに寝て膝を立てた状態で、膝頭の高さが違っていると股関節に若干の障害があり、肩にも影響を与えている可能性があります。

 

自分での対処法としては関節は軸圧が必要です。軽く腕立てです。肩幅で肘を左右に広げるのではなく、引く腕立てです。ワンちゃんの前足が動く方向です。四つ足で歩くのもいいのですが、無理なら机に肩幅で手をつき、指先は正面です。圧力をかけながら肘を体幹から離さぬように脇を締めて屈伸させてください。

 ある程度上がるようになったら、万歳。両肘を肩幅から広げずに締め、上腕が耳のそばを擦る様なつもりで上げることを繰り返します。可能なら2リットルペットボトルを手のひらにのせて持ち上げましょう。

やはり炎症痛があるはずなので氷水で冷却してください。

でも本質的には頚胸移行部に潤滑不全が発生して、肩軟部組織にストレスを与えていることが多いので、この修正が必要です。